シンポジウムは成功裡に終了しました!ご参加いただきました皆さまありがとうございました!
- 全体会議:「【自分自身が気付いていない無意識の偏見〔思い込み〕】を探る」
- パネルディスカッション:「経営者が求める21世紀のリーダーシップ」
- 基調講演1:「明日のリーダーへの期待」
- 分科会1:「リーダーシップブランドの構築」
- 分科会2:「ダイバーシティマネジメント・実践企業の経験と課題」
- 分科会3:日本市場のダイバーシティ・マーケットにおけるビジネスチャンスとリーダーシップ
- パネルディスカッション:「アメリカ先進事例に学ぶ企業とNPOのWin-Winの関係づくり」
- 基調講演2:「インパクトリーダーシップの新しいモデル」
開会

会場の様子

総合司会者 三神万里子氏
全体会議1
クック・ロス・インク 創設者・代表 ハワード・ロス氏
テーマ:【自分自身が気付いていない無意識の偏見〔思い込み〕】を探る
ロス氏は、先ずいくつかの事例で無意識な偏見〔思い込み〕を分かりやすく説明しました。企業の人事担当者は、面接する場合、偏見や思い込みは、むしろ面接する側にあって、面接される側には全くない事に注意すべきで、言葉では表せない相手への好感度で判断している事が多いと述べました。また、空港のセキュリティチェックでは、ジーンズとT−シャツ姿の男性は、スーツを着た男性より長く調べられます。実際、ロス氏は統計を取るために何回か実験されたとのことです。無意識に自分が持つ判断基準で比較するため、人事評価もそのように評価されてしまうことが多いとのことです。同様に、履歴書で判断する場合、アメリカでは白人系とアフリカ系の名前を見て、50%が白人系の名前を選び、面接するとのこと。こう言った思い込みや偏見に注意しなければ、本当に多様性に富んだ人材を選び、雇用することは出来ない。また、一人ひとりが企業・社会でチェンジ・エージェントになるには自分の無意識な偏見や思い込みに気付き、行動する事が不可欠であると話しました。

ロス・ハワード氏
女性がビジネスで成功するには、このようなバイアスを自分自身も取り除くことが求められると述べられ、特にSTEM(科学・テクノロジー・エンジニアリング・数学)の分野では、女性自身が無意識に思っている事が迷いに変わるので、意識的に自分に確信を持つ事が重要であり、それに気が付かないとジェンダー・ギャップが生まれるとのことでした。統計的に、女性はこのSTEM分野で成績も関心度も小学校から高校までは高く、大学、プロフェショナル期になると男性と逆転するとのことでした。同様に日本のビジネスウーマンも大学、ワークフォース時代は男性と同じ位置づけでも、経営幹部、役員となると男性と女性の間では大きなジェンダー・ギャップが生まれています。
どこからこのような偏見や思い込みが起きるのでしょうか?氷山の上の部分(顕在意識)が確信を持って信じているとしたら、海の中にある(その水面下にある深い)無意識な部分はもっと大きく判断を左右します。誰もが、1)Perceptions、見えていると思っている事、2)Interpretations、解釈している事、3)Preferences、好みの3つで判断します。これらの判断基準で他人を判断する時、自分の考え方や能力にも影響を与えています。“人”を評価する場合には先ず“自分自身”を評価する事が大事であると話しました。
また、ロス氏は、バスケットボールをしている若者が何回ボールをキャッチするか数えるようにと言って、聴衆にビデオを見せ、ビデオ終了後、ゴリラが見えた人がいますかと質問しました。数人は手を挙げましたが、殆どの人はゴリラが見えていませんでした。2回目にビデオを見た時には、聴衆の殆どがゴリラを認識していました。誰もが意識し、注意すると、このように物事を選別して見ることできること、常に意識して判断する事により、優れた意思決定がビジネス上可能になり、ステレオタイプ、思い込み、偏見で判断するとビジネスに大きく影響を及ぼすと、ロス氏は話しました。男女を問わず、深く洞察し、無意識の思い込みを意識する事でグラス・シーリングに対する見方も変わり、インパクト・リーダーとして女性も男性も能力を発揮出きる事を学ぶことができるとまとめられました。
パネルディスカッション
「経営者が求める21世紀のリーダーシップ」
パネリスト:
ベルリッツインターナショナル 会長兼CEO 内永ゆか子氏
日産自動車株式会社 相談役名誉会長 小枝至氏
メリルチンチ証券会社株式会社 小林いずみ氏
フレーザー・コミュニケーションズ 代表取締役 ルネ・フレーザー氏


ルネ・フレーザー氏
各パネリストから簡単に自己紹介がなされた後、21世紀のリーダーシップや後進の育成などについて、さまざまな議論が行われました。会社に変化をもたらすことの難しさについて、内永氏は、IBMが危機に陥った時の経験を話され、自分たちの世界だけを見ていたこと、過去の成功体験に基づいて運営していたこと、マーケットの変化を正しく見極めていなかった事をあげ、異なる経験を持ついろんな人が徹底的に議論した結果、つまりダイバーシティを取り入れたことによって、危機を脱することができたというお話が紹介されました。また、フレーザー氏は、アメリカでは、購買の決定者は83%が女性ということで、ターゲットとするお客様を理解したダイバーシティを取り入れていくことが重要だと述べられました。

内永ゆか子氏
日本人のパネリストからは、自分のキャリアを達成していく中で、特定のメンターを持ったり、あるいは上司や他の人に相談したりしながらやってきたということで、特に女性の場合はメンターを持つということが有効ではないか、また、自分がメンターになることも、他の人の異なる考え方や、自分が気づいていない会社の問題などを知ることができ、有益であるとのお話がなされました。アメリカでは、アフリカ系アメリカ人やラテン系というように、人種別にいろんなレベルの女性が集まるグループを設けている場合もあり、シニアメンバーがいることで、トップに変化をもたらすことができているとのこと、また、リバースメンタリングといって、ITに強い若い人が年上の人にITを教えるということも行われているとのことでした。

小林いずみ氏
最後に、変化の激しい21世紀のリーダーに求められることとしては、オープンさ、物事を分析的に考える思考力、自分の価値観や哲学をしっかり持つこと、以心伝心ではないコミュニケーションの充実、地球規模の大きな流れを認識しフレキシブルに対応しながら自分のミッションを忘れないこと、常にチャンスを見つけていくことなど、各パネリストからさまざまな意見が述べられました。
基調講演1
株式会社東芝 取締役 代表執行役社長 西田厚聰氏
テーマ:明日のリーダーへの期待
刻々とめまぐるしく変化する時代の流れ、そこにはグローバリゼーションが加速的にあります。企業としては変化の後追いだけをしていては、到底生き残れません。そして、市場の変化に対しリードし続けることが勝ち残りの条件であると、西田氏は穏やかな語りの中に鋭さを持って話し始められました。

西田厚聰氏
西田氏自身が考える「リーダー像」とは、組織の力を高めて、成長と利益を最大化に向け成果をだしていくことであり、組織能力はベクトル「方向性」と「チカラの大きさ(個人の能力)」から成り立っていると述べられました。
方向性をどう育てるのかについては、企業経営の要素としては、「判断する→決断する→断行する」であり、その中で、「最適な判断ができるか」が重要だが、この判断にはバイヤスが入りやすい。経済用語で「アベイラビリティ・バイヤス」といい、直近に入る情報、つまり「新しい情報は正しいと思いがち」である。また、管理職は部下の評価を行なうが、本来一年間を見るべきだが直近の情報で判断されがちである、とのことでした。
「判断力」は、生きていく上でも人間になくてはならないものであり、それだけに視野を広げ思考の幅を豊かにすることが重要であると強調されました。知識と情報が判断の元であり、情報は誰にも同じだけあるわけで、どれだけの情報のその中から何を選択するかが鍵であるとも述べられました。
「判断力」について、「ウェスティングハウス社の買収」を事例に具体的にお話しされました。西田氏が社長に就任されたばかりの時に、グローバル化への判断を下しました。ちょうどそのときにWH社の話があり、当時はこの買収についてかなり辛口の批評がマスコミから出されていたので、買収するかどうかを判断する上で、買収した場合としない場合の将来像、競合会社の立場などを考えて、2050年までの事業計画を立てられたとのことでした。そして、最終的には買収を決断、断行し現在に至っているとのことでした。
「判断力を強化する」には訓練が必要と話されました。つまり「訓練で判断力は強化できる」ということです。まず、1.自分で自分の考えたことを対象化する――自己内対話、2.さまざまな人の立場に立って物事を考える、3.自分の実行力を客観的に考える、そして、4.リーダー自身も意志を強く持つ。「実心・実言・実行」つまり、心で本当に思ったことを、正しい言葉で表現できるコミュニケーション力を持ち、表現したことは実行するという4つのポイントです。 そして、これからのリーダーは「変化をリードする」ことのできるリーダーが必要であり、変化の意味を考えて、本質を洞察して、すばやく(慧敏)応変する(対応し変わっていく)ことが求められていると述べられました。

未来は予測するためにあるのではなく、自分たちが創るためにある。その意味からもベクトルのチカラを最大化させ、応変力を高め続けていくことがリーダーに求められていると、最後に締めくくられました。

